呼吸の力-当たり前過ぎて、忘れ去られた呼吸の価値
水や食べ物は2〜3日摂取しなくても生命に大きな支障はない。
しかし、息はたった5分止めただけでも命が危ぶまれる。
私たちは、意識して呼吸することが少ない。
呼吸は1分間におよそ15回ほど繰り返されるといわれている。
1時間ならばおよそ900回。
これに、24をかけると1日につき、2万回以上の呼吸を繰り返していることになる。
「長生き」という言葉は、
「長息」という意味も含まれているそうだ。
また、「息」という漢字は
「自」「心」という二つの漢字からなっている。
つまり、「息」は「自分の心」表すということ。
人は心が落ち着いている時は
自然にゆったりとした深い呼吸をしている。
ゆったりとした深い呼吸が出来る事は
心が穏やかな表れでもあるのだ。
幼い頃は、呼吸の中心点が下腹に近く、年を重ねるほどに上に上がってくる。
ほとんどの大人は、息をするとき下腹より胸の方がよく動く。
病気で死期が近い人は呼吸がとても浅くなり、どうにか喉元を過ぎるほどになる。
呼吸が深くできないので、少しでも深くしようと自動的に肩が動く。
息が喉を通れなくなると、言葉通り、息を引き取るということだ。
呼吸・脈拍・血圧・体温などは自律神経によって調節される生命機能である。
呼吸が他の機能と異なる点は、自律的ではあるが、
最も容易に意図的に自分で変える事ができるという点だ。
呼吸を通して調節できるものは、身体の生理的な機能だけではない。
感情と考えも調節できる。
呼吸を意識的に変えることは人生を変えること
時に私たちは、「外部からの刺激」や「過去の後悔」、「未来の不安」から感情に陥る。
それが未来になり、人生が辛くなる、悪循環だ。
呼吸を意識的に変えることは人生を変えることだ。
感情と考えを調節するということは、外部からのどんな刺激にも囚われず
自らの意志で感情や考えを選択することである。
呼吸ひとつ意識的に変えていくことは、あなたが思う以上に大きな力を持っている。
なぜなら、1日に、2万回以上繰り返す呼吸が変わるのだから。
実験をしてみよう
1分間に何回呼吸をするのか数えてみてほしい。
成人の、リラックス時の最適な呼吸リズムは、12秒に1回のペースだ。
つまり、1分間に5回することになる。このような速度で呼吸すれば心肺機能が高まる。
毎分7~10回は若干の興奮状態
毎分10~20回なら中間レベルのストレス状態
毎分20回を超えるなら相当多くのストレスを受けている。
一般的な基準にも例外はあるが、リラックスするほど、ゆっくり呼吸することは広く知られた事実である。
ゆっくり呼吸をする最も良い方法は、自分の呼吸を意識することだ。
自分の息遣いを感じながら、1,2,3,4,5を数える間にゆっくり息を吸い込む。
そして1,2,3,4,5を数えながらゆっくり息を吐き出す。
これを、たった3分間ゆっくり呼吸をするだけでも、
心が安定し身体がリラックスするのが感じられる。
呼吸は、自律神経を適切なバランス状態に回復できる、強力な手段になる
呼吸の頻度は交感神経を優位にするように働きかけ、
呼吸の深さは副交感神経を優位にするように働きかける。
したがって、自律神経のバランスを回復する最も効果的な方法は、
呼吸をゆっくりと、そして深くすることだ。
呼吸をゆっくりとすれば過度に興奮した交感神経が落ち着き、
呼吸を深くすれば疲れた副交感神経に力を与えることになる。
あなた自身の呼吸を感じながら、
自然に楽でありながらも深くゆっくりと呼吸しよう。
呼吸の穏やかさと深さは同時に起こる。
このような自然で深くゆっくりとした呼吸の中で、
あなたの身体と心は、
本来のバランスと調和が回復される。