暑い夏におすすめの韓国料理
■サムゲタン
日本では、暑い夏を乗り切るために土用の丑(うし)の日(今年は7月30日)にうなぎを食べるという風習があります。
韓国ではなんと言ってもサムゲタンですね。
漢字で蔘鶏湯(参鶏湯)と書きます。
サムゲタンを食べれば、かぜをひかなくなり、ひいても回復が早いようですよ。
韓国では夏バテ解消のスタミナ料理として親しまれています。
食べるうちに、体の内側からほこほこと熱くなってきます。
消化にもよく、おなかいっぱい食べても太りません、という人が多いです。
内臓を取り除いたひな鶏の腹に、モチ米、ナツメ、朝鮮ニンジン、ニンニク、クリを詰め、圧力鍋で1時間ほど柔らかく煮込みます。
栄養満点。
汁には鶏のうま味が溶け出し、モチ米も火が通って粥(かゆ)状に。
とろとろの幸せなスープです。
韓国料理は辛いというイメージがありますが、サムゲタンは塩、コショウだけの穏やかな味つけです。
家庭によっては、生後2カ月ほどの鶏を丸ごと1羽使うといいます。
多量のコラーゲンが含まれていて美容にもプラスだとされます。
女性に人気が高い理由です。
サムゲタンはかつての宮廷料理だったそうです。
かつて、韓国の祖父母世代の人から「子どものころは年に一回、あるかないか。すごいごちそうやったんよ」と聞いたことがあります。
今は一般的な家庭料理として普及しています。
■韓国の酷暑の日「三伏」
韓国では一年で最も暑い時期を「三伏」といいます。
初伏、中伏、末伏の3つがあります。
夏至から数えて3度目の庚(かのえ)の日が初伏、
4度目が「中伏」、
立秋の後の最初の庚の日を「末伏」といいます。
韓国では、これら3つの各日にスタミナ料理で暑気払いをします。
■ドジョウ汁
サムゲタンに加えて、ドジョウ汁も、三伏のスタミナ料理として人気があります。
ドジョウ汁は、ドジョウではなくウナギの切り身を使う料理。
ショウガや野菜を加え、みそとトウガラシで調味します。
■補身湯(ポシンタン)
韓国の庶民の間では、犬の肉を食べてスタミナ源とする習慣もありました。
最もきつい末伏には補身湯(ポシンタン)と呼ぶ犬肉汁が好まれていました。
犬肉と長ネギや玉ネギなどの野菜を煮込みます。
韓国では、暑さで衰弱した体は、熱い性質の犬肉を食べることによって、パワーアップすると考えられてきました。
『以熱治熱(イヨルチヨル)』の原理で、万病が退く、という原理。
「以熱治熱」という四字熟語は、韓国の食堂でよく見かけます。
熱い食べ物で乗り切るという意味です。
犬の肉も、陰陽五行思想に基づく、理にかなった栄養食ということのようです。
ただ、動物愛護者の批判を受け、あまり食べなくなりました。
ドジョウ汁も補身湯も、「ゲンニプ」と呼ばれるエゴマの葉を入れるのが特徴です。
かつて日本では、一部の韓国焼き肉店のメニューで見かける程度でした。
■ミョンテチゲ
スタミナ料理としては、ミョンテチゲもおすすめです。
スケソウダラのぶつ切りに大根、ニンジン、ネギなど野菜を加え、コチュジャン(からしみそ)と唐辛子粉で真っ赤に染まった鍋が最高です。
コンロの上でぐつぐつ煮立ったところにセリを落とせば出来上がり。
小皿にとって、スケソウをはしで切り開きます。
弾力のある真っ白い身が、ほのかに赤らんでいます。
辛いけど旨い。
淡泊な白身魚と辛いスープが調和します。
■日本で増えるおしゃれな韓国料理店
近年は、本格的な韓国料理を出す店が続々登場し、手軽にサムゲタンなどの料理が食べられるようになりました。
これらの店は従来の焼き肉店のイメージとは一線を画し、おしゃれな空間でワインなどと共に韓国料理を楽しむというスタイルをとっているところが多いですよね。
女性客の比率も高いようです。